患者
女性 60代 揖斐郡 K.Oさん
来院
2016年7月
症状
2、3ヶ月前から左右臀部・股関節部周辺に違和感があり、筋肉痛が毎日続いているような痛みがあった。1週間前から立位や座位など同一姿勢を保持している時や5〜10分ほど歩くと左臀部から大腿部後面、下腿部後面、足底部、足趾にかけてのツルような激痛により一旦痛みが出ると体勢を変えるのも困難な状態になっていた。
また当院に来院される前に病院へ2件行かれていた。
1件目の病院にて、脊柱管狭窄症による坐骨神経痛との診断を受け、痛み止めと筋肉の緊張を緩和する薬を処方され服用するも全く症状は変わらなかったとのこと。
2件目にはペインクリニックへ行き、ブロック注射を受け、その場で痛みは軽減するも翌日には前日までと同じように症状が出ている状態であった。
痛みが強かったため仕事も休職され、いつ復帰できるのか・・・痛みは引くのか・・・と不安を抱えられていた。
薬剤による治療を受けたが、あまり効果を感じなかったため来院された。
治療内容と経過
初回の検査にて、脊柱管狭窄症になってしまった原因を探していく。今回の症例では、大きく分けて3つの原因が考えられた。
1つ目に骨盤部の歪みにより、腰椎の土台となる骨盤部分の不安定性がみられた。
2つ目に脊柱の側弯。正面から姿勢を観察すると骨盤部に対して、上半身が大きく左方向へ傾いており、骨盤部は右方向への捻じれが目立っていた。
最後に3つ目は股関節のアライメント不良。特に患側である左股関節部の可動性が低下しており、股関節周囲の筋肉の過緊張がみられた。
施術では、これら3つの問題に対してのアプローチをすることにより4回目で痛みの度合いが減ってきた。1ヶ月目が経過する頃には、当初の痛みはほぼ無くなり、10回目以降は職場にも復帰された。
2ヶ月目は週1回、3ヶ月目は2週に1回のペースで通院され無事に卒業され、現在はコンディション維持のため2週〜3週に1回のペースで通院されている。
使用した主な手技療法
骨盤矯正・側弯矯正・股関節矯正
考察
病院では基本的に悪い部分のみの局所を中心にみるのが一般的である。脊柱管狭窄症による坐骨神経痛であれば腰部の状態をレントゲンやMRIを用いて判断する。また治療法は痛み止めの服用や局所的な注射かブロック注射などがメインになることが多い。これらは対症療法である。もちろん効果が見込めるケースもあるが、反対に今回のようにそうでないケースもある。
局所だけを見るのではなく、原因となりうる一見すると関係のなさそうな他の部分や身体全体を細かく検査し、その検査結果を元に身体の状態から推測し、的確なアプローチを行うことによって症状が治まったと推測される。
このページの作成者について
著者:三ツ村聖
〜略歴〜
岐阜県瑞穂市の整体院「みつむら接骨院」院長
プロの整体師約370名が在籍している業界団体にて、講演の講師を平成28年、平成29年と2年連続で勤めたプロを指導するプロの治療家。